徒然に.

創価学会について思うことを書く予定です.

題目は何時間唱えればよいのか?

前回のエントリ(題目)では,創価学会員の主要な宗教活動の一つである題目に焦点を当てた.これを踏まえて,今回は題目を唱える時間がどのようにして決定されるのかを数学的に表現してみたい.

数学的表現

ある創価学会員の効用Uを消費量c,余暇量lの関数として以下のように表す.

U=U(c, l)

但し,

 c \gt 0, l \gt 0, \frac{\partial U(c,l)}{\partial c} \gt 0, \frac{\partial U(c,l)}{\partial l} \gt 0,

 \forall c \ge c^{'},\forall l, U(c,l) \ge U(c^{'},l),  

 \forall l \ge l^{'},\forall c, U(c,l) \ge U(c,l^{'})

である.また,選好の凸性を保証するため

 \frac{\partial^2 U(c,l)}{\partial c^2} \lt 0, \frac{\partial^2 U(c,l)}{\partial l^2} \lt 0

を仮定する.

ここで題目を唱える時間を題目量a (\ge 0)と定義し,彼は題目を唱えることそのものから効用を得ることはないとしよう.消費財価格をp,賃金率をw,労働量をLとすれば,彼の直面する効用最大化問題は以下となる.

 \max U(c,l)

 s.t. pc = wL

いま,彼の時間賦存量hは外生的に与えられるものとし,hは労働,余暇,題目に全て使い果たされることを想定する,つまり彼に

 h = L + l + a

なる制約を課せば,効用最大化問題は以下のように書き直せる*1

 \max U(c,l)

 s.t. pc + wl + wa = wh

ここで,題目量を増加させるに従い,彼は彼の生産性が向上し,その結果彼の賃金率は上昇することを信じていると仮定しよう.即ち,彼の主観的賃金率wは題目量aの増加関数であり,

 w = w(a), \frac{\partial w(a)}{\partial a} \ge 0

であることを仮定する*2

ラグランジュアン \mathcal{L} (c,l,a,\lambda)

 \mathcal{L} (c,l,a,\lambda) = U(c,l) + \lambda [wh - (pc + wl + wa) ]

とすれば,効用最大化の一階の条件(FOC)は以下となる.

 FOC:

 \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial c} = \frac{\partial U}{\partial c} - \lambda p = 0,

 \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial l} = \frac{\partial U}{\partial l} - \lambda w = 0,

 \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial a} = \lambda [ \frac{\partial w}{\partial a} H - \frac{\partial w}{\partial a} l - (\frac{\partial w}{\partial a} a + w(a)) ] = 0,

 \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial \lambda} = wh - (pc + wl + wa) = 0

但し, \lambdaラグランジュ乗数であり, \lambda \ge 0である.

消費と余暇の限界代替率をMRSとすれば,FOCの第1式,第2式から

MRS(c,l) = \frac{w(a)}{p}

である.また,FOCの第3式を書き換えると*3

 \frac{\partial w(a)}{\partial a} (H - l - a) = w

 \Leftrightarrow \frac{\partial w(a)}{\partial a} L = w

 \Leftrightarrow \frac{\partial w(a)}{\partial a} \frac{a}{w(a)} = \frac{a}{L}

 \Leftrightarrow \eta (a) = \frac{a}{L}

となる.但し, \eta (a)賃金率の題目弾力性と定義され,ここでは

 \eta (a) \ge 0

が想定されている.

考察

まずはじめに,題目量の増加は予算線をどのように変化させるだろうか.aを外生変数とみなし,縦軸にc,横軸に lをとったデカルト座標を考えると,予算線の縦軸切片は\frac{w(a)*(h-a)}{p},横軸切片は h-aである.aの限界的な増加はh-aを減少させるので,予算線の横軸切片は題目量の増加とともに減少する.このことは,彼の時間賦存量,余暇量,および題目量の機会費用が同一の主観的賃金率wによって評価されているため,題目量の増加が余暇量の利用可能性を減少させているとシンプルに解釈できる.一方で,縦軸切片をa偏微分すると,

\frac{\partial}{\partial a} (\frac{w(a)*(h-a)}{p}) = \frac{1}{p} ( \frac{\partial w(a)}{\partial a} (h-a) - w(a))

である.FOCの第3式から

 \frac{\partial w(a)}{\partial a} (H - a) - w = \frac{\partial w(a)}{\partial a} l \gt 0

であるから,彼の最適題目量の決定を考慮すると,予算線は縦軸切片を押し上げる方向に変化することがわかる.このことは,題目による消費財購入可能数量の増加が機会費用の増加を凌駕することを意味する.

次に,最も重要な等式はFOCの第三式より導かれた,

 \eta (a) = \frac{a}{L},\eta (a) \ge 0

である.まず,この等式の意味することは,題目量と労働量の比が賃金の価格弾力性と等しくなるように決定されるということである.したがって,もし彼が彼の題目量の1%の増加が賃金率を全く上昇させないと考えるなら,\eta (a) = 0 \rightarrow a^* = 0となり,当然彼は題目を唱えないだろう.一方で,少しでも題目の効果が期待されるなら,彼の最適題目量はa^* \gt 0となる.

もし彼の賃金の題目弾力性が題目量の増加に伴い減少していくのであれば,

 \frac{\partial \eta (a)}{\partial a} \lt 0 \rightarrow \frac{\partial}{\partial a} (\frac{a}{L(a)}) \lt 0

であるから,題目量の増加に伴い彼の労働時間に対する題目量は減少する.

また,一般に

 0 \lt \eta \lt 1 \rightarrow 0 \lt \frac{a}{L} \lt 1

であると考えられるから,多くの人々の題目量が労働時間に比較して短いであろうことも頷ける.

用例

仮想的な創価学会の労働量,余暇量,題目量を与えることで彼の主観的な題目のメリットを逆算してみたい.いま,彼は時給換算で2,000円の仕事に1日8時間,月に20日間従事している.即ち,彼の労働時間は月に160時間,月給は32万円である.彼は題目を唱えることに熱心であり,仕事のある日には1日に2時間,休日には1日に5時間の題目を唱えているとする.即ち,彼の題目時間は月に90時間に及ぶ.ひと月を30日とすれば,彼の時間賦存量は月に720時間であり,そこから労働量および題目量を差し引いた残りの余暇は月に470時間となる.

上記を踏まえて,本モデルにおける彼の内生変数について, L =160, a = 90とすれば,FOCより

 \eta (a) = \frac{a}{L} \approx 0.56

となる.したがって,本モデルを正しいとするならば,彼の主観的な賃金の題目弾力性はおよそ0.56であり,彼は彼の1%の題目量,つまり月に54分間の題目量の増加が,彼の月給をおよそ1,792円増加させると考えていることとなるだろう.

今回は,創価学会員の題目量がどのように決定されるかを数学的なモデルを構築することで考えた.本モデルから彼らが合理的であれば,彼らの題目量は彼らの考える賃金の題目弾力性と題目/労働比率が等しくなるように決定されることが明らかとなった.題目の効果を賃金率の上昇として捉える単純化は,労働市場にいくらか強い仮定を強いることとなるため,企業の利潤最大化行動と彼らの労働供給が如何様に調整されるかを明示的に考慮する必要があるだろう.また,実際に題目にどのような効果があるのかということは実証的に興味深い論題である.本モデルの限界をよく認識した上で,理論面・実証面での更なる発展を期待したい.

*1:wl, waは余暇と題目の機会費用を表す.

*2:題目量の増加に賃金率の上昇が伴わなければ,彼はより現実的な主観的賃金率関数を設定するだろう.本来ならば実際と主観の乖離を埋めるような調整過程を考慮する必要があるが,ここでは単純化のために捨象している.また,人的資本への投資活動が即座に賃金率の上昇として反映されるという想定は,労働市場に強い仮定を強いる.彼の努力投入と賃金率の関係性は,企業の利潤最大化行動との相互関係において成立するものであり,このような問題を取り扱うにあたって標準的にはプリンシパル・エージェントの問題を明示的に扱う契約理論の応用が適切かもしれない.ここではより題目時間決定の基礎的な枠組みを提供することに焦点を絞り,賃金率の決定に関しては今後の課題としたい.

*3:FOCの第1式ないしは第2式から \lambda \neq 0である